偉ぶる?
海外赴任中に現地法人の実質トップを務めた時である。
自分自身を「偉い」と思った事は1度も無い。
「偉い」のとは意味が異なると思っている。
ただ単に「決定権」が有るだけである。
ただし本当の社長であり、特に中小企業ともなればまさにその枠の中では神にも等しい力を手に入れたと錯覚する事も有るかもしれない。
私もこの部分は非常に気を使った。
ある意味会社員の殺生与奪権を有していることになる。
色々な事を決定していくのは当たり前であるが、会社組織を運営して行く以上、望むと望まざるとその力を行使せねばならない瞬間が出てくる。
絶対にその力には酔わない。
そう心に誓っていた。
偉いわけでは無く決定権があるだけ。
それを絶対に勘違いしない様に気を使った。
特に海外であれば自分が気にしなくとも勝手に色々な解釈をする方が出る。
多少なりとローカルの要求を聞いていると、いつの間にやら私のバックには社長が付いている位の勘違いをはじめる場合がある。
昇給や賞与をネタに冗談でもあいつの分を「上げてやる」や「下げてやる」は口にしなかった。
噂だけでも気を使った。
おかげさまで日常の中で従業員への気の使い方が勝手に身についた。
私は「付いて来い」タイプの強いリーダーではない。
合議制を採用していた。
どんな下っ端でも話を聞き、現場のリーダーや中間管理職の方々等々を交えて良く話をした。
これがこの間の人の顔つきにも影響してくる。
何にしても実質、現地法人のトップである以上、その強権を発動した段階で負けだと思っていた。
何故ならば合議制の中で、強権を発動せねば意見が通らないと言う事は何かが違っているのでは思う。
そんな中で絶対に忘れない様にしていた事がもう一つ。
自分が下っ端の時の思い。
立場によって見えて来るものが有ると思う。
だからこそ下っ端には見えないものが有る。
そのための丁寧な説明。
お陰様でこの訓練を海外で行った事により、より営業に磨きがかかったと今では思える。
やはり色々と自分で決めて実行することは大切であると思う。